Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2009年1月23日(金) 「落し物」

夫を電車に置き忘れた人がいたが、私はそこまで粗忽にはなりえない。夫を持つことは生涯ないからだ、たぶん。妻を忘れる可能性もあるかもしれないが、そのような蛮勇を持ち合わせていない、絶対に。恐怖に対する恐怖は人一倍強いからだ。私は忘れ物は多いが、落し物は比較的少ないと自負している。それは自分の持ち物に対する執着心によるところが多い。ケチでしつこい性格も長所になりうる。とはいえ落し物をするときはする。私は完璧な人間ではなく、その辺にいるただの変な人だからだ。中学のときに、学校で家のカギを落とした。そのカギとは校内放送で呼び出されて再会できたのが、その際に「カギに名前が書いてあったから分かったのよ」と事務のおばさんが私のことを褒めてくれた。褒められたので、カギに名前を書いておく私の機転を誇り、天狗になるのは当然だ。ただ今思えば、この機転は単なる「泥棒さん、いらっしゃい」だ。(HK)

何度か落し物をしたことがある。ずいぶん昔のことだが、渋谷のハチ公あたりで定期入れ(中はカードやら個人情報が満載)をバッグにしまうときに落としてしまった。なぜかすぐ気付いたので、交番に行ってみたら届けられていた。届けてくれた人は名前を残さずに去って行ったらしい。今なら間違いなく、詐欺などのエジキにされそうだが、古き良き日本では、そういうことはなかった。それから数年後の話だ。ある金曜日、家に帰ると財布がないことに気づいた。どこで落としたのだろう。駅から家までさんざん買い物をして帰ってきたので、駅からのどこかで落としているはずだ。レシートをもとに、寄ったお店に電話するが、どこにも私の財布はなかった。仕方がないので、交番に届けた。クレジットカードもキャッシュカードも全部、停止手続きをした。すると交番から電話が・・・期待して出ると、「手袋忘れましたよ」とのこと。なんとも恥ずかしい。でももっと恥ずかしいことが数時間後に起こった。私の財布が、ベッドの下から出てきたのだ。どうやらバッグの中から落ちていたらしい。もちろん交番には行かなかった。財布を落としたと届け出に行き、手袋を忘れてくるようなおっちょこちょいだ。ベッドの下から見つかったなんて、どんな顔をして言えばいいというのか。カード類はすべて再発行。おっちょこちょいの代償は高い。(M)

ある知り合いのご夫婦が、わたしの両親を尋ねて家にやってきた日のことです。用事が済み、奥様(おしゃべり好き)が運転する車で帰って行かれたのですが、しばらくして奥様から「家に着いたら主人が車に乗っていなかった」と驚いた声で電話が。奥様は、ご主人が後部座席に乗り込むとさっそくおしゃべりを始め、家までの数十分間ずっと話し続けていたそうです。ようやく家に着いて後部座席を振り返ると、そこにいるはずのご主人がいない。驚いて電話をかけてきたのでした。実はご主人は、いったん車に乗り込んだあと忘れ物に気づき「ちょっと取ってくる」と告げて車を降りたそうなのですが、奥様はその一言が耳に入らず、ドアの閉まる音でご主人が乗ったと思い込んで発車し、家まで走り続け(しゃべり続け)たそうなのです。すぐ近所ならともかく、40分以上はかかる距離なのに。ご主人の方は、忘れ物を取って戻ってみると待っているはずの車がいないので、仕方なくタクシーで帰られたそうです。信じられないような本当の話です。(結婚40年以上のそのご夫婦は今も仲良しです)(MT)

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