Editor's Room

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2015年1月16日(金) 「電話」

昔、ノベルティとしてよくテレホンカードが配られた。今も手元には、Jリーグ発足の時のテレホンカード(古いな~)や、何シリーズも続いたドラマのテレホンカードなどたくさんある。しかし、ふと思う。「これ、どうするんだろう?」と。携帯電話の普及により、公衆電話はどんどん減り続けていて、一番近くの公衆電話がどこにあるのかも思い出せない。どうやらもう使うことはなさそうだ。オークションでも100円程度で取り引きされている。安すぎる。いろいろ調べてみると、電話代に充当できるらしいので、それが一番実用的だ。しかし、頭のどこかで「いつか、これらのテレホンカードがプレミアムとなり、高額で売れるのではないか」という、セコい考えが拭いきれず、そっとまた元の場所に戻すのだった。(M)

電話は果たして必要か。毎日肌身離さず携帯電話を持ち歩き、一時の別離でも絶望的な恐怖に苛まれるが、今持っている携帯電話の電話機能を使うのは月何回あるのだろうか。携帯電話が普及していない時代、家の電話を長時間占拠して親に怒られるという経験をした人は多いが、携帯電話を持っている今、長電話で叱られることはほとんどない。そして歳を重ねた今、長電話をすることすら無くなってしまった。そもそも掛かってくる電話なんぞ、ろくなものではない。今や会社のデスク上の電話含め、何かしらの業務連絡か催促か不動産投資の営業電話くらいしか電話が鳴ることはない。電話の地位は以前に比べ、明らかに低下しており、グラハム・ベルもさぞ草葉の陰で悔しがっているだろうか。あれほど諸人が群がっていた公衆電話も、今や目に入らなくなった。最近使ったのは、大震災の時くらいか。そしてテレホンカードも全く無用となった。先日、妻が成人式の記念として作ったテレホンカードが発掘された。十数年前の一番綺麗な瞬間を永遠に残しておきたいというすがる思いで作ったのだろう。月下美人のごときテレホンカードを3歳の息子に見せ、これは誰だと問うたところ、「誰だかわからない!」と言い放った。子供の無邪気さ、そして純粋さ、正直さの象徴的なシーンであった。しかし、すぐに「んー、ママ」と訂正したところを見ると、息子は空気を読むという処世術も身につけたのかと、親として息子の確かな成長に目尻を垂らすのである。(HK)

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