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伊藤 守

[No.89]  伊藤 守のおすすめ
不老の方法
坪田一男(宝島社)


眼科医でありながら幅広く活動している坪田先生とは20年来のお付き合いで一緒に本を書いたこともあります。普段からエネルギッシュで、活動的な彼は、常に新しい世界に目を向け、それを自ら試みてしまう行動力を備えています。これまでにアイバンクの設立、角膜移植、レーシック、ドライアイなどいつも新しい領域を切り開いて来ました。医師としても優れていますが、特に私が注目しているのは、彼が新しい概念を理解し、新しい概念を組み立てる「思考実験」に傾向して点にあります。Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)も新しい概念がベースにあります。彼のアンテナはそれをいち早く察知し、具体化させました。2001年の暮れにはすでに、グロースホルモンやキレーションに関する情報をもち、アメリカの抗加齢医学会の専門医試験を受け、合格しています。

本書の中で坪田先生は「僕はこの医療は社会を変えるのではないかと思っています。そのくらいインパクトのある医療なのです」と言っています。

「僕は医者ですから、健康に関する知識は一般の人よりも少しは豊富なはずだし、興味もあるし、日々適度な運動や体調の維持などには注意を払っていました。けれども、病気の予防「予防医学」というものには、どうもあまりピンと来ない感覚がありました。予防医学というと、なんだか守りに入るみたいで、僕の日頃前に向かって走っていきたい感覚とは、どうもしっくりいかない。魅力的に感じられなかったのです。でも同じ予防の意味を含んでいるには違いないのですが『病気にならない』『年をとらない』『死なない』というこの3大メッセージには、とてもエネルギッシュで明るく前向きな強さ、潔さ、ピカピカした魅力を感じたのでした」(文中より)

最初に「物語」があって、そこから知識を深め、技術を取得するという彼のスタンスには共感するものがあります。もちろん、Anti-Aging Medicine に関する学説は無数にありながらも、まだ確実な保障がある領域ではないということについても、再三、述べられています。坪田先生は日頃からEBM(実績・データに基づいた医療)について注意を払っています。そして、それを本書の中でも実践していると思います。本書では「加齢、老化」の原因を次のように分類しています。

  1. フリーラジカル説
  2. 細胞分裂が減少するテロメア説
  3. たんぱく質の変化によるクロスリンキング説
  4. 老廃物がたまる説
  5. 免疫力低下説
  6. 遺伝子修復エラー説
  7. ホルモン低下説

著者は、「これらの加齢説を片っ端からクリアしていけば、老化による衰えを防ぎ、加齢を遅らせることができるはずである。それどころか、若返りも可能になるはずだ」と言っています。本書によればAnti-Aging Medicine は部分的なアプローチではなく、可能な方法を全てあらい出し、総合的に取り入れていくというイメージが広がります。これさえやればいいというものではなく、ホルモン、サプリメント、キレーション、運動、ストレスマネージメントなど、全てをマネージしていくプロセスとして紹介されているのです。

人間の寿命も遺伝子によって決定されていて、長生きの遺伝子があれば多少生活のバランスを崩していても長生きできるという現実があり、自分の寿命、はては健康もどこか成り行き任せなところがあるものです。しかし、本書を読むと、生きることや、寿命についても、自分の意志を反映させることができるという可能性を感じることができます。かなり前に、『エージウェーブ』という本を読んだことがあります。その本によれば、我々団塊の世代が子どもの頃に接してきた50代、60代と、今の50代、60代は違う、今の方がずっと若いとありました。それにはいくつかの理由がありますが、そのひとつに、50代、60代のモデルが変わったことがあります。それまでの50代、60代には枯れたイメージがありましたが、今の50代、60代のモデルは、ポール・マッカートニーを始め、ミック・ジャガー、ロバート・レッドフォードであり、彼らは60歳をとうに超えています。年を重ねることに対するイメージを変え、加齢を抑える方法を知り、それを実行する。それは身体だけではなく、自分の人生を自分のものにすることができるという可能性がもたらされたことを意味します。本書は、発展途上にある、Anti-Aging Medicineを紹介しながらも、その根底では「生きていることはすばらしいことだ」という著者のメッセージにあふれています。

どんなにすばらしいAnti-Aging Medicineがあったとしても、長生きすることに価値を見出していない人にとっては、それは何の意味もないものです。生きていることが真に楽しい、すばらしいという体験なしにAnti-Aging Medicineが使われることはないのです。しかし、一方ではAnti-Aging Medicineを試みることで、生きていることの楽しさや、その価値に気づくかもしれないと思わせてくれる一冊でした。


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