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コミュニケーションQ&A
バックナンバー No.1-20 No.21-40 No.41-60 No.61-80 No.81-100 No.101-120

毎週、コミュニケーションラボラトリーの中の Q&A から抜粋してご紹介します。

Q

自分自身の嫌いな部分について、その部分も自分自身の一部分として受け入れるにはどうしたら良いでしょうか?

A

お話ししたいことはたくさんあるんですけど、コミュニケーションですごく大事なのは距離なんです。「私」というのがいて、嫌な部分が何かはわかりませんけど、行動とか言動、あるいはルックス、または過去かもしれない。ほとんどの人が参ってしまうのは、そういうものと距離が持てないためなんです。

この中で学校の先生はいらっしゃいますか? 会社員の方は? お巡りさんは? 皆さんはいろいろな職業を持っていらっしゃる。じゃあ、男性は? 女性は? それらはすべて自分の役割になっているわけですよね。例えば、学校の先生は先生という仕事をしている。会社員もそう。お医者さんはお医者さんという役割を取ってるわけです。だから正確には、「あなたの職業は何ですか」と聞かれれば、例えば「私は会社員です」と答えますけれど、「私は」というのは、数学でいうイコールに値してしまいます。ここから脳は誤解を始めるわけです。「あなたの職業は」と聞かれ、「私は会社員だ」と答えてしまうと、あたかも「私」が「会社員」と同化してるかのように思ってしまう。でもそれが違う証拠に、会社員=私、ではないわけです。お巡りさんというのは、制服を着てピストルを腰に下げて外に出ていってお巡りさんなのであって、家に帰って子どもに向かって「逮捕する」と言ってもしかたないわけです。

人はいろいろな役割を持っています。顔つきにしろ何にしろ、ある種その役割にはまっていきます。そして、学校の先生の中には、教えるのが上手い人と下手な人がいる。会社員として営業マンとしてよく売れる人と売れない人がいる。それは問題ないですよね。例えば営業マンとして行動のレベルが高い、よく売れるとする。しかし売ったからといって「私」というものの価値が一緒に上がったと誤解するといろいろ問題が起こるわけです。逆もありますね。営業マンとして売れないと「私」の価値も一緒に下がる人もいるわけです。でもそれは違う。「私」の価値は普遍ですから、仕事が上手く出来ようが出来まいが関係ない。そのことについて認識の無い人が、自分の欠点を受け入れるというのは難しいことなんです。

人生が上手く行ってる人は、考えがバンバン変わります。考えなんて洋服と同じなわけです。自分の考えにあまりにも執着していて、自分の考えを否定されると自分が否定されてしまったかのように怒る人がいますけれど、そうじゃない。僕らはチームでやっていくわけで、どれが一番いい考え方なんだろう、というところでものが話せる人たちというのは、「私」と「考えてること」や「言っていること」は違うものだ、それはただ私が今着てる洋服だ、と認識している人たちなわけです。こういう考え方が練習されて自分のものになってない人は、欠点とか自分の言った事やった事というものにすごく左右されてしまって、逆に言うとこれらの影響を受けてしまうということです。

コミュニケーションで一番最初にやりたいことは、距離を持つことなんです。距離を持って、見ている。そのためには、私は今何を考えているのか、何を思ってるのか、何を感じてるのか、ということを客体化して見るような練習が必要になります。これは結構高級なことですが、これが出来ないとコミュニケーションを取るのは難しいと思います。ちょっと時間はかかりますが、距離が持てるようになると気が楽になります。例えば「自分はこういうふうに思うんだ」と思ってるけれど、それは実は猿のものだった、とかですね、そんなふうにいろいろ想定を変えて見ていくと、そうこだわらなくてもいいではないかと思えるようになるからです。


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