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2006年06月22日

はやぶさ、イトカワ

 月曜日は『これからの宇宙活動』というタイトルで、
 宇宙航空研究開発機構の的川泰宣先生にお話をしていただきました。

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 宇宙がとっても人間くさい2時間でした。
 
 アインシュタインの相対性理論、
 そして量子力学、そして、宇宙開発。
 
 ところで、プロジェクトとは、
 幾何学的に進められるものだと思っていたのですが、
 実はとても感動的で、その感動に後押しされながら
 プロジェクトが進行することがわかりました。

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 さて、ご存知「イトカワ」の話では、
 イトカワ(糸川博士の名前から。糸川博士は『逆転の発想』の著者)に、
 はやぶさを打ち上げ、遠く約3億2000万キロ離れた、
 長さ500メートルほどのイトカワにはやぶさを着陸させ、
 そこからイトカワの石を採取してくるという。
 
 小さな大豆を、つるつるの塗りばしではさんで、
 直径1センチの試験管のなかに、
 10000個落とさずに入れるような難しさ。
 
 特に難しいのは、イトカワに着地させるところです。
 
 少しずつ近づいて行くのですが、
 そのときの動力はなんと、太陽からの圧力を使う。
 
 しかし、もっと驚いたのは、そもそもはやぶさは遠隔操作で、
 イトカワへの着地を試みるものとばかり思っていましたが、
 実はそうではなかったことです。
 
 約3億2000万キロも離れたイトカワに地球から送信すると
 それだけで片道16分もかかってしまい、
 「止まれ」なんて指示しても、32分もかかるのですから、
 イトカワに衝突してしまう。
 
 また、はやぶさから送られる映像も当然早くて16分。
 それを見ながら操作すると、送られてくる映像に16分、
 こちらから送るのに16分。
 とても操縦などできない。
 
 そこで、はやぶさに、「自律性」をもたせることにした。
 
 詳しくは、このサイトを参照してください。
 
 自分で状況を判断しながら、自分でイトカワに着地する。
 はやぶさに自律性を持たせる。
 
 それはコーチングで、スタッフに自律性を持たせるという考えと
 全く一致しています。
 
 はやぶさはいいんです、往復32分ですから。
 スタッフの場合、送信して返ってくるのに、
 24時間とか、1週間とかかかるわけですから。
 
 そこで、自律性をもたせる。
 
 その場で考えて、その場で判断し、その場で対応する。
 はやぶさにも「コーチ」がついたわけです。
 
 自律性は、はやぶさだけではありません。
 このプロジェクトの進行中に
 若手が育っていくプロセスのお話がありました。
 
 はやぶさをイトカワに近づけてゆく過程で、
 何日も徹夜しながら考え、試し、実行する。
 そして、たいていの場合失敗し、混乱する。

 はやぶさが、イトカワに近づいて行く状況が
 グラフになっているのですが
 直線で下降しているのではなく、
 そこには試行錯誤のプロセスがくっきりと現れていて、
 一直線で下降してゆくとき、そして、停滞、
 という様子がよくわかります。
  
 まさに、人の育ってゆくプロセスとリンクしたグラフがあって、
 先生のお話とあいまって、感動しました。

 もともと、家内はイトカワのファンでしたから、
 この日もやってきて、先生のお話に目を輝かせていました。
 
 はやぶさという名前は、イトカワに舞い降りて、
 そこで石を拾うその様が、
 はやぶさのようだからということです。

 でも、ペンシルロケットの生みの親である糸川博士が、
 その昔、陸軍の戦闘機、「隼」の設計者であったことも、
 もしかしたら影響しているのかもしれません。
 
 隼がイトカワに着地するって、なんだかいい感じだ。

Posted by itohco at 12:26

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コメント

宇宙まで考えてしまうと、人なんてほんとに小さいんだな、と感じます。

投稿者 DEJI : 2006年07月11日 11:56

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